先日、第65回九州山口薬学大会が佐賀市にて行われましたが、昨年に引き続いて太陽薬局としてポスター発表を行い、多くの方が学会参加されました。
今回の学会でも全員参加,協力することを目標にして、半年前よりプロジェクトチーム(5名)を結成して取り組ました。プロジェクト会議では、まずテーマ探しからはじまって何度も協議を重ねた結果、いくつかの候補の中より下記テーマに決定しました!
★PA-02 「さまざまな外用薬の指導内容及び指導時間についての検証 ~外用薬の調剤料一律10点という点数評価って??~」★
・外用薬には、塗布薬(クリーム剤,軟膏剤,液剤,ゲル剤,口腔用軟膏剤),貼付薬(パップ剤,プラスター剤,テープ剤,パッチ剤),エアゾール剤,点眼 薬,点鼻薬,口腔薬(含嗽剤,吸入薬),坐薬(坐剤,注入軟膏,浣腸)など多種多様の薬剤がありますが、外用薬の平成24年調剤報酬点数は、調剤料10点 (1調剤につき3剤まで)が算定されます。しかしながら、外用薬個々の種類及びその薬剤ごとにきめ細やかな服薬指導が必要とされ、その一律の点数評価には 疑問を感じる点があり、特に吸入薬においては吸入デバイスの操作により、有効性や安全性に大きく影響することがあるため、使用するデバイスごとに見本を用 いて正しい操作手技を指導する必要があります。
・ほかの外用薬についても、適正使用するための初期指導,使用後正しく使用できたかのチェック,有効性や安全性のチェックは同じく重要であるが、それぞれ の指導内容量,複雑さ,副作用回避という面での重要度などに違いがあると考えられるため、各外用薬ごとに適切な指導内容を考察すると共に、指導にかかる時 間を一つの尺度として検証を行うことにしました。
・太陽薬局の全薬剤師(27名・9店舗)にて、ロールプレイでの各種類の一般的な外用薬指導時間の測定を行いました。 吸入薬(喘息治療薬、COPD薬、 インフルエンザ薬)については、全ての吸入薬を対象とするため、見本などを用いて操作手技の指導内容を事前に練習を行い、準備した29種類の吸入薬は各店 舗に振り分けて指導時間(秒)を測定しました。その他の外用薬(点眼薬、点鼻薬、塗布薬、貼付薬、含嗽剤、坐薬)などについては、各店舗の採用薬において 指導内容の検証及び指導時間(秒)の測定を行いました。
↓↓ 完成ポスターです・・・
その後の分析やグラフや表作成,どういった結論を導き出すのか?どう表現したらいいのか?などディスカッションを重ねましたが、ポスター発表という形にす ることはとても大変な作業でした・・・ 客観的な視点が大事なので、多くの方にみてもらったり店長会議においてプレゼンを行ってアドバイスをいただき修正 を繰り返した結果、よりいいポスターに仕上がったと思っています☺
↓↓ ポスター作成時や店長会議時プレゼンの様子です・・・
私達のポスターの前で足を停めて熱心に見ていただいたり,ポスターを写真撮影する方やご質問をいただくこともあり、メンバーより内容や趣旨について説明をさせていただくこともありました。
↓↓ 学会当日のポスター掲示,発表の様子です・・・
★結果・考察
今回の検証により、外用薬の服薬指導が薬剤の種類に応じ多様であることは明らかであり、特に吸入薬においては、最近10数年の間に様々なデバイスの吸入薬 が販売されており(表③)、個々に指導方法について修練しなければならないと思われます。また、使用後の有効性・安全性のチェックが重要な薬剤、「リレン ザ」や「イナビル」のように服薬指導において感染リスクを負うなど時間的・身体的に負担の大きい薬剤もある。その多様性を総合的に判断し、外用薬にかかる 点数は一律の調剤料『10点』のみではなく、種類別に評価・算定されるべきと思われます。近年新設された「特定薬剤管理指導加算」や「乳幼児服薬指導加 算」に倣い、「吸入指導加算」「インフルエンザ吸入指導加算」といった薬学管理料の加算を設けることで、外用薬の服薬指導がより適切に反映されるのではな いだろうか。 次回以降の調剤報酬改定において、さまざまな外用薬に応じた評価を検討していただきたい
★太陽薬局の薬剤師は、今回アンケート実施,ポスター作成に関わっていたこともあり、ほぼ全薬剤師の方が参加し、様々なシンポジウム,ランチョンセミナーなど講演会を聴講しました。 その反響の一部です↓↓
○[特別講演Ⅰ]: 先進G7 中唯一の 「医師の調剤」 容認国からの脱却-薬剤師Ethicsの高揚と開かれた医療へ向けて
・日本の医薬分業はまだ成立していない。医師の調剤をなくすことで、医師・薬剤師 お互いの専門性を高めて医療の質が向上する。法律を変えることはすぐには難しいが、より国民に周知していただけるよう知識を深め情報発信に努めていきたい。
・日本で医師の調剤が容認されているということが、これほど問題視されているとは知らなかった。 海外の多くの国々に比べ、日本は安全性最優先の文化が貧 弱であるというのは、医療だけに限ったことではない。今一度「誰のために、何のために」を考え、本来の役割を果たすべく努力しなければならないと感じた。
○[特別講演Ⅱ]:超長寿社会における医療の役割
・高齢化が問題となっている日本。人口当たりの医師数はOECD34ヶ国中29位、看護師数も11位。唯一薬剤師数が2位。薬剤師が医療介護サービスの供 給危機に陥っている日本の救世主と期待されている。そのためにも臨床現場での裁量権の拡大が求められる。経済面でもいろいろな分野で国際競争力が弱くなっ ている日本。日本がこれから直面する長高齢化問題をクリアする医療介護サービスの社会システムを構築すれば、いずれ高齢化問題に直面する世界各国に日本の 価値を示すことになる。重要な輸出産業と期待できる。 亀田グループはこの問題の発信基地となれるようチャレンジしていくという話でした。
○[シンポジウム6]:本気で支援!~セルフメディケーションにおける薬剤師の役割~
・医薬分業に対する批判がある中、医療費抑制の政策のひとつに「セルフメディケーションの推進のために薬局・薬剤師の活用を促進する」とされる動きがある。
・地域住民の健康づくりに身近で気軽に専門的な支援が受けられる拠点のひとつに薬局が入り続けること、また健康相談窓口としての位置づけを高め続け、軽医 療マネジメントに関わり続けないと「薬局」という存在は無くなるのではといわれている。つまり「薬局の前でケガをして、目の前の薬局に消毒薬を買いに行っ ても置いてなかった」が薬局と言えるのか?と言う内容だったと思います。
★様々なシンポジウム,ランチョンセミナーなど講演会にも参加しました・・・ ↓↓ ロシナンテス理事長の川原尚行さんより 「明日の子供たちの笑顔のために ~スーダン・東北での活動~」の講演会が・・・ 体当たりで取り組むことで、その純な気持ちの輪がどんどん拡がって、とても大きな影響力につながっていると感じました。 また南北スーダンの子供たちを、東北の被災地に連れていくという発想,実行力に感嘆し、子供たちの笑顔に救われた・・・とにかく行動を起こすこと!行動力!!